【海外駐在員のお金の話】資産運用、何から考えるか

お金の話

 駐在生活にも慣れ、少し落ち着いてから考え始めるのがお金の話。一昔前よりも手当てが薄くなりつつあるとはいえ、まだまだ日本でもらう給与に比べれば手厚い補助を受けてお金を貯められるのが駐在員。

と言っても、駐在員には非居住者特有の様々な制約もあり、給与についても現地給と日本給に分かれていたり為替の話も絡むので判断要素が多くなりがち。さらに私は日本に居た頃はNISAもやったことが無かったぐらいの資産運用初心者。。

ここではそんな素人の私があれこれ調べた結果、現在採用している方針について書き留めておきたいと思います。

まず結論

 紆余曲折の結果、基本的な方針は、

  1. £ベースの給与の余剰分はVanguardのISA(Instant Saving Account)に突っ込み放置する
  2. \ベースの少額の給与は住宅ローンの前倒し返済にあてておく

の2点になりました。こうやってみるとわざわざ書き起こすほどではないぐらいにシンプルですが、そこに至るまでに調べた内容を備忘録として残しておきます。

現状

まずは簡単に、私が置かれている状況は以下の通りです。

  • 30代会社員、妻1人、子1人
  • 駐在前は、学生時代の奨学金返済、結婚費用や住宅購入により貯金額はすずめの涙…
  • 妻は駐在帯同にともない会社を退職。帰国後に復職するかは未定

Twitter(X)を見ていると世の中には副業で稼げるすごい人がたくさんいるんだなと圧倒されますが、自分は副業ができるこれといった特技があるわけでもないので、今回の駐在をきっかけに収入を向上させながら資産形成を始めて将来の余裕につなげていきたいところ。

基本的にリスクを取りたくない性分なので、基本方針は

身の丈に合った範囲で働いて収入は徐々に向上させる

余剰資金はリスクの少ない運用に回して可能な範囲で増やしていく

の2点です。そのため、自分の能力を超えたハードワークが必要な職種への転職による収入アップや、ハイリスクな投資は考えていません。経済的にも精神的にもちょっと余裕のある小金持ちおじさんになれたら最高です。

何から考えてよいものか

 駐在前には資産運用に回す余剰資金がほとんどなかった私ですが、赴任して1年もたつと駐在ブーストによりそれなりに手元にお金が貯まっていきます。多くの駐在員がそうであるように、現地通貨(私の場合は£)と日本円の両方でお金が貯まっていくので、インフレの時代にただ貯金しておくというのももったいない、というわけで色々調べてみました。

1. 円の余剰資金は全て日本の証券口座で資産運用すればよいのでは?→非居住者は日本の証券会社の口座で新規取引ができない

 これは残念。元から開設している口座ですでに保有中の株や金融商品を塩漬けにすることはできるようですが、新規の取引はNG。理由は日本の証券会社が海外の金融商品取引を行う認可を現地国政府から受けていないためだそうです。

証券会社が日本国外で金融商品取引業務を行う許可(免許)などを海外の監督官庁等から得ておらず、居住国の法令諸規則に則った対応が出来ない

【株式投資】海外赴任・海外転勤者は株の取引が出来るのか?|トンボのカブログ (tonbonokablog.net)

日本円が貯まってきた暁には、機を見てSP500の投資信託 / ETFにでも入れておこうかと思っていたのですが、日本の証券会社の口座についてはその選択肢は取れない様子。

非居住者届を出さずにこっそり日本の証券会社の口座を取引可能な状態に維持しておくことも可能性がないわけではないでしょうが、証券会社の規約に反するようなことをするのはしたくないのでその選択肢も除外。

円定期預金は利率が低くてリターンが少なく、外貨定期預金は昨今の円安トレンドを考えると勇気が出ません。

2. なら円預金をイギリスに送金してポンドで運用すればよいのでは?→歴史的な円安の中で円を外貨に動かす勇気がない…

ポンドについては現地証券会社で口座を開設すれば資産運用が可能です。日本の証券会社での資産運用ができないなら、日本円をWiseなどで海外送金して現地国の証券会社に入金して運用すればいいのでは?という考えも頭をよぎりましたが、歴史的な水準での円安が続く今、為替リスクを考えると円を他の通貨に動かすのは為替リスクが高いと判断。こればかりは誰にも正解はわからないわけですが。

円安の理由は?円相場 一時1ドル=150円台 専門家が解説 | NHK | 株価・為替

特に数年の駐在期間後に帰国することがほぼ確実な私のケースでは、2-3年の運用益が為替リスクや送金手数料を上回る可能性は高くないと判断。今後長らくイギリスに滞在する可能性が高い、または帰国後もイギリスの口座に資金を保持する予定の方であればそのような方針で長期で運用するのもありかもしれませんね。

というわけで円資産については、いざ帰国となった際に必要になりそうな一定の金額を除いて住宅ローンの返済に充てています。帰国まで預金として維持しておいてそこからの資産運用の元金にするということもできると思いますが、駐在期間が延長になる可能性や他の国への横移動の可能性もゼロではないため、ひとまず精神的な余裕を持つために住宅ローンの残高を減らしておくことを選択しています。住宅ローンは超低金利なので、本当は日本円は運用に回したいのですがやむなし。。。

追記:上記の検討をした際に考慮に入っていなかったのが中古住宅の住宅ローン減税に関する要件緩和。私が購入した中古住宅は要件緩和前には住宅ローン現在の対象外だったのですが、今回の要件緩和により対象内に入っている可能性が浮上。帰任後の数年間がまだ住宅ローン減税適用年度になる可能性が出てきたため、毎年ローン残高に対する0.7%の減税を受けた場合のメリットを考慮すると、返済を急がないほうがリターンが大きい可能性も出てきました。こちらは今後再検討が必要。。。

住宅ローン減税の中古住宅の条件が大幅に緩和!<価格の安い築年数の経過したマンションが買いやすくなる>|住まい1プラス|三菱UFJ不動産販売「住まい1」 (sumai1.com)

3. ポンド資産はどうするか?→駐在員でもイギリスで証券口座は開設できるのでVanguardで資産運用

「イギリス 資産運用」などで検索すると必ず出てくるのがバンガードでの資産運用。以下のブログを参考

【体験談】イギリスのバンガード証券口座でインデックスファンドを運用してみた | ひろ@英国|海外駐在ライフハックブログ (otokuniliving.com)

イギリスにはISA(Instant Saving Account)という日本のNISAのもととなった、株式や投資信託の運用益を非課税で受け取れる制度があり、こちらを使えば運用益に対する課税率は0%。

最近はアメリカ同様にイギリスの預金口座の金利も上昇しており、現金として預けているだけでもそれなりの金利は得られますが、Vanguradに預けた際のリターンはそれを上回ってくるため、ポンドで余った資金はすべてこちらに回すことに。上限額は年間£20,000まで。

VanguardのISAで投資できる金融商品の一覧がこちら。

All Funds | Vanguard UK Investor (vanguardinvestor.co.uk)

Riskをどこまで許容するか次第ですが、高すぎないRiskで5% – 10%のリターンを期待できるのは魅力的。

4. 逆に円安のうちにポンドを円に換えてしまって住宅ローンの返済を急ぐべきでは?

私の駐在員の知人の中には、円安の今のうちにポンドを円に換えて日本に送金している方もたくさんいらっしゃいます。これはこれで大いにありだと思いますし、為替が今後どう動くかは誰にも読めないため正解はわかりませんが、現在借りている住宅ローンの0.4%という低金利を考えると、ポンドで得た余剰資金はポンドのままVanguardで運用を回したほうが、はるかに大きなリターンが得られると判断しました。円がさらに大きく円安に振れたときのリスクヘッジの意味合いもあります。

5. 投資先は他にもいろいろあるのでは?

駐在仲間からは他にも様々な投資先の話を耳にするわけですが、そもそもRiskを取りたくない&そういった情報を細かく調べて分析するほどの意欲も持っていない私が下手に手を出すとおおやけどしそうな気がして距離を取っています。

実際、Vanguardで運用益は得られるのか

Vanguardにお金を入れ始めて今で1年半が経ちました。現在までに入金した金額の合計は£29,000 / 520万円。そこから得られた含み益が£2,826 / 51万円。ざっくり10%程度のリターンが得られています。基本的には毎月一定金額を入金し、たまに相場が下がったときに余っている手持ちのポンドを入金する、という形をとっています。

短期的な変動に一喜一憂するわけではないと分かりつつもついつい見てしまうわけですが、今のところ安定してプラスを維持しているため、このまま黙々と余剰資金の入金を続けていきたいと思っています。

運用した資金の出口戦略はどう考えるのか

駐在員の海外での資産運用について必ず話に出てくるのが、駐在期間を終えた後、貯まった資金をどうするかです。

仮にその現地証券口座を帰国後も維持できたとしても、現地証券会社で得られた運用益については日本での課税対象となる様子。

なにより私の性格上、自分が日本に帰った後に、万が一口座が凍結されたりオンラインでの送金作業ができなくなったりするRiskを考えるとなんとなく落ち着いていられないため、帰国時には資金は日本に持って帰ろうと考えています。

これから調べてみたいのは以下のような「外貨のまま日本に送金する」ケース。昨今の情勢では、円は金利のいい投資先が見つかりにくい印象があるので、駐在中に貯めた資金はポンドのまま日本に持って帰って外貨のまま運用できると理想的。

外貨送金受取サービス(外貨を受取る) | 外貨預金 | NEOBANK 住信SBIネット銀行 (netbk.co.jp)

例えば£30,000を上記の外貨普通預金口座に送金し、そのまま外貨定期預金に全額預ければ円に比べて高い利息のメリットを享受することができるんでしょうか。

もしそれが可能なのであれば、たとえばSBIネット銀行でのイギリス£の外貨普通預金金利は3.8%なので、£30,000をほったらかしにしても毎年£1,000の利息が振り込まれる状態を作ることができることになります。それをいつ円に変えるのかという問題は残りますが、日本の口座で所有している限り、タイミングは自分の人生設計と家計次第で決めればいいので、イギリスの口座に置きっぱなしにするよりははるかに安心していられそう。銀行とのやり取りなどで何か落とし穴があるかもしれないので、今後少額で実験してみたいと思います。

まとめ

あれこれ考えたわりには結果的に無難なところに落ち着きましたが、当面の方針としては以下になりました。

イギリス£の現地給与については余剰資金をVanguardのISAに投入する

少額の日本円給与についてはこれという投資先がないため住宅ローンの繰り上げ返済に回し、精神的自由を手に入れる

追記:ただし、中古住宅向けの住宅ローン減税予見緩和により、この点については要追加検討

イギリスで運用した£の出口戦略については今後検討と実験を進める

正直まだまだ分からないことだらけの資産運用ですが、試行錯誤を繰り返して少しでも有用な方法を見つけていきたいと思います。

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